【A COMMON BEAT】10年愛される伝統ミュージカルの稽古【取材レポ】

【A COMMON BEAT】10年愛される伝統ミュージカルの稽古

7月14日に特定非営利活動法人コモンビートのミュージカルプロジェクトである「A COMMON BEAT」のワークショップ型の稽古が開催されました。そこには100人の鼓動がわずか100日で共鳴する理由がありました。 コモンビートは「個性が響きあう社会」の実現を目指し、ミュージカルプロジェクトを中心に、国内外を問わず様々な表現活動をしています。活動は10周年を迎え、その熱気はとてつもない。これまでに延べ3000人がプログラムに参加し10万人の動員数に達するとあって、その規模の大きさにも驚かされます。 そんなコモンビートは今だからこそ、面白みがあると感じます。様々な10周年企画がスタートしているのもさることながら、現代の社会情勢との対比にも注目したい。

「A COMMON BEAT」のストーリーは4色の大陸(青:アメリカ、黄:アジア、緑:ヨーロッパ、赤:アフリカを基調としている)が「異文化理解 ~違いを認め合うこと」をテーマに世界の争いや溶け合いを表現します。日を増すごとに浮き彫りになる世界的な平和、環境、経済の問題。これらの問題は何も遠い話ではなく、もっと身近なところで体現されているのです。

それはミュージカルを作り上げる側である彼らにおいても。100人のキャストの編成は公演毎に行われる公募により集うため、二度と同じキャストでのミュージカルは観ることができません。一度きりだからこそ、そこに込めるエネルギーは非常に高くなりますが、知り合って間もないキャスト同士が交わるための融点に達するまでには苦労する面もあるそうです。年齢と性別がバラバラになるように4色の大陸のキャスト編成されるため、そこでの多様性からなる大変さや喜びをキャスト全員が経験することになります。“本当に素人なの?”と言われることが多いのは、そんな彼らが表現するからこそ純粋に込み上げる感情であり、10年間も続く一つの理由なのでしょう。

多様性を練習場にぶち込みたい

今回のプロデューサーを務める奥村広哉 氏(下写真)。奥村氏は5回目となる参加で、キャスト、チームリーダーの経験を経て、現在はプロデューサーとしてコモンビートを支える。プロデューサーとして気をつけていることについては、18〜60歳までいるキャストを偏りなくバラバラにすることだと言います。そんな彼の想いを率直に伺いました。

▼プロデューサーとしてやることは何ですか?

一番大きなのはコンセプトを作ることで、あとはスケジュールや予算など、仕事らしいことしています。今までパフォーマンスばかりやっていたので、コモンビートで唯一やっていない部分だったんです。

▼コモンビートを知ったのはいつ頃ですか?

よさこいを大学生のときにやっていて、そのときの仲間がコモンビートにいたんです。それを初めて見に行ってから、僕もあっちに行きたい!って思って、翌年に出ましたね。

▼やる理由は何ですか?

毎回違うメンバーでやるので色々学べて成長できますし、楽しいですね。あとは舞台に立ったときの素晴らしさ。普通そんな経験できないじゃないですか。カラオケだったら3人くらいの前で歌うけど、それが2000人になったときの高揚感はハンパないです!皆素人だから、アウトプットの場になったときに有り得ない衝撃体験になるんですよ。見に来る人が知り合いであっても、皆さんお金を払ってくるので、ある種の緊張感というかプロ意識でやれるんです。

▼劇団との一番の違いはなんですか?

よく言われるんですが、僕らがやりたいことって実はミュージカルじゃなくてもいいんです。マラソンや書道でも個性が響き合えばいいですし。でもミュージカルというツールが一番よくて、そのマインドを伝えることにも気をつけています。

▼どういう人にコモンビートをやってもらいたいですか?

今回は僕が知っている中で一番学生や外国人の人数が多いんですが、とにかく色んな多様性をあそこにぶっ込みたいと考えています。普通のサラリーマンはもちろん、日本の中で異分子としているような人にも入ってもらいたいですね。

そして自分の価値を認めてもらい、コモンビートを好きになってもらいたいですね。例えば手を挙げる表現があったとして、全員が同じ表現をする必要ないんですよね。一人だけ手を挙げてなくたっていいじゃないかと思うんです。同じ社会にいても一人ずつ違う人生を歩んでいるように、コモンビートでもそれを表現して欲しいんです。“いいんだよそれで”っていうその人自身の価値を理解して欲しいです。コモンビートっていつも後付けなんで(笑)練習している間は一生懸命でもいいんですけどね。終わったあとに彼らが何を感じてどんなアクションをするかが肝心なんです。ミュージカル終わったあとにはアフター合宿でそういう棚卸しの場もあるんです。

▼5年目ということですが、今後も続けるんですか?

実は来年以降はミュージカルをやらないんですよ。なぜやらないかというと、僕としてはミュージカルをやらないことがチャレンジなんですよ。ミュージカルをやる自分が当たり前なんで、ある意味楽なんです。だからコモンビートで学んだことを活かして次のチャレンジに進みたいんです。

 

そんな奥村氏の言葉の通り、キャストは大学生からIBMの超エリートサラリーマンまでと本当に多様性がありました。そんな彼らの中からピックアップした2人をご紹介します。

 

最初は観るだけで良かったのに

まずは笑顔がとても明るく印象的な三戸 珠恵さん(陶芸家、40歳)のコモンビート初参加に対する心境を伺いました。 

▼普段は何をされていますか?

陶芸家をしています。専門学校に通って陶芸を学び修行した後に陶芸家を始めました。2000年からは自宅に釜を作り、陶芸教室も開いています。

▼コモンビートと出逢ったキッカケは何でしたか?

2年前に陶芸教室で知り合った方が出演されていた方がキッカケでした。その人が2年連続で出ていて、「2回も出るんだ」「そんなにいいのかな」って思ったのを覚えています。最初の1回目のミュージカルは普通に観て感動したんですが、2回目には「そっちの舞台にも立ちたい」と思っていたんです。

▼なぜ2回目で思い立ったんですか?

1回目の時は感動はしたものの、私には無理だろうって感情の方が大きかったんです。2回目には自分でやりたいと思えたし、やれるかもしれないと思えたんです。

▼それはお友達のお誘いがあったからですか?

お誘いではなく、2回目の公演の後に「来年も出るの?」と聞いたら「私は来年は出ないけど、三戸さん出てみたら?」と、本当にその一言だけでした。

▼お友達が出なくても、出ようと思ったんですか。

自分で体験説明会を調べて、申し込んで、行く前日に「実は行くんだ」と言ったくらいです(笑)

▼すごいですね(笑)。そのとき不安はもうなかったんですか?ミュージカル経験があったとか?

ミュージカル経験は全くないです。不安があるとしたら体力的な問題と、仕事で土日行けない日があるというくらいでした。体力的には実際厳しいところもありますが、絶対成長すると決めたので頑張れますね。

▼やる理由としては色々あると思いますが、成長が一番大きなポイントでしたか?

そうですね。自分が成長して、その姿を見せることで何か新しいことを始めたいという気持ちになってもらいたいですね。陶芸って心の中を映し出す“静”の部分なんですが、自分の中でリズム感を作るとか“動”の部分を得たら、どんな表現が出来るようになるのかなっていう。これは目的ではなく結果だと思うんですけど、そういうのが楽しみではありますね。

▼一番やっていて楽しいことは何ですか?

この場所にいることが一番幸せですね。それは好きなことしている状態と色んな年齢の人といれることです。自分が出来ないことをクリアしていく喜びもあれば、逆に助けることも。そういう自由にできるところに「こんな贅沢な時間はない」って思えるんです。

▼最後にここを観てもらいたいポイントってありますか?

プロの舞台衣装を作る友達がいて、今回その人に衣装を作ってもらったんです。嬉しいことに、彼女は来年出たいと言ってくれて。そうやって色んな人を巻き込むことで、興味を持ってくれたり手伝ってくれることが嬉しいですね。

変な日本人しかいない

続いて際立って長身でとても目立っていたMarshall Craig/マーシャル・クレーグさん(現役東京大学院生、28歳) にお話を伺います。

▼今は何をされているんですか?

オックスフォード大学の博士課程の中で、訪問研究員として東京大学へ研究しに来ています。もともと東洋学を専攻していて、先生から東京大学を紹介していただいたんです。

▼卒業後は何をしたいか決まっているんですか?

卒業後は教師になるか、外務省で働きたいと思っています。外務省だったら日本で、教師だったらイギリスでやりたいですね。

▼日本語が上手ですね。

日本語は大学の頃から学んでいましたし、このミュージカルを通して日本語を学んでます。あと日本人の友達も出来ますからね。

▼コモンビートを知ったキッカケは何でしたか?

APYCという国際会議で朱仙さん(現コモンビート理事)にお会いしてから知りました。今回もAPYCの方が何人かいるので、いってみようと思いました。

▼なぜやろうと思ったんですか?

実は8月に帰国する予定なので、日本にいる間に“好きだけどやったことないこと”をやってみようと思いました。新しい友達を作るのもそうです。

▼面白い人いっぱいいますもんね。

そうですね、変な人いっぱいいますね(笑)。あといつもは学生と会っているので、ここは色んな社会人がいて楽しいですね。日本人は礼儀正しく、相手のことを気遣い、何でもキレイにするのところは好きですね。イギリス人と似ているところもあります。

▼今回が最初で最後の出演となりますがどんな気持ちですか?

自信をもってコモンビートのメッセージを伝えたいですね。今、アジア関係が少し残念だったりしますよね。そういう国際問題だとかって本当は皆ひとつなのに。それを相手のことを思いやって・・・そう、コモンビートですね(笑)。感じて欲しいです。

最後は笑いまくる

開催まであと40日。土日の練習はあとわずかとなりますが、現時点でも完成度は非常に高かったと思います。驚いたの初心者と経験者(コモンビート2回以上参加者)の比率は8:2で圧倒的に初参加者が多いとのことです。その練習はオンとオフの切り替えがはっきりして、練習とは思えないほど、イベント性に富んだ内容になっていました。

練習していたかと思えば、急に全員が座り込みます。

実はこれもワークショップの一部。部屋は真剣な空気で、各々が自分と向き合った時間でした。

そして練習のあとは「Gプラス」というワークショップの開始です。5・6人のチームに分かれて、各チームがミュージカルから抜き出したいくつかのシーンを別の表現、カタチで伝え合うワークショップです。ドキドキした表情の中にも会場全体が“待ってました!”と言わんばかりの空気に包まれスタートしました。

100日は長いようで、とてもあっという間に過ぎてしまいます。ここで出会った仲間と笑うコミュニケーションも大切な時間です。それはチームワークと表現力に還元されミュージカルとして届けられます。初めは年齢や性別、チームなどが最初は対立します。徐々に打ち解け合って、互いを認め始めます。それは、まるでミュージカルの内容の縮図が100日のプロセスの中にあるかのように。きっとコモンビートにはミュージカルの当日だけではわからない奥深さがあり、それが多くの人が関わってきた理由なのだろうと体感しました。

そんなメンバーたちによるコモンビートミュージカルを是非ご覧になってみてください。

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【公演概要】

「A COMMON BEAT」ミュージカルプロジェクト2013
第24期東京100人100日プログラム

ミュージカル「A COMMON BEAT ~感じてほしい 共通の鼓動~」

■上演スケジュール
(1) 2013年8月23日(金) 開場 19:00 開演19:30 終演予定21:00
(2) 2013年8月24日(土) 開場 12:30 開演13:00 終演予定14:30
(3) 2013年8月24日(土) 開場 17:00 開演17:30 終演予定19:00

■会場
昭和女子大学人見記念講堂 (収容数:約2000名×3公演)

■チケット
全席自由席 3,500円(税込)

※上演時間は約90分を予定しています。
※3歳以上有料です。
※3歳未満であってもお席をひとつご利用になる場合は料金を申し受けます。
※コモンビート正・賛助会員の方は3,000円(税込、500円割引)となります。

プロデューサー:奥村広哉(こーや)
演出:新井三保子(さんぽこ)、小林祐樹(こば)、西尾一幸(なる)
プログラム期間:2013年4月~2013年8月
公演日:2013年8月23日(金)/24日(土)

■後援
世田谷区教育委員会
認定NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年推進会議(ESD-J)」

■協力
Up with People

■ストーリー
「違い」とは、恐るべきことなのでしょうか。
それともその「違い」ことが美しさなのでしょうか。

舞台で描かれる「世界」は、様々な文化の特徴を持った四つの大陸で
成り立っています。人々は互いに他の大陸の存在を知らずに、
独自の文化に根ざした彩り豊かな歌や踊りを楽しんでいました。

しかしあるとき、一人が他の大陸の存在に気がついて・・・
文化やバックグラウンドが違っても、私たち人間は理解し合い、
共存することができるのでしょうか。私たちをつなぐひとつの鼓動、
「A COMMON BEAT」を見つけることはできるのでしょうか。

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【チケットのご購入方法】

チケットのお求めには3通りの方法がございます。

★1.キャスト経由販売
お近くの第24期キャストから直接お求めください。
※キャスト経由でのご購入は500円割引となります。

★2.コモンビート事務局HP販売
以下の申込フォームよりお求めください。

▼24期チケット販売フォーム(購入期限:8月15日)
【PC】http://www.commonbeat.org/mail/mail.cgi?id=ticket24
【携帯】http://www.commonbeat.org/mail/imail.cgi?id=ticket24

★3.チケットぴあからのご購入
チケットぴあでチケットをご購入いただけます。
お近くのチケットぴあ取り扱い店からお申込ください。

24期東京公演Pコード:428-280(チケットぴあ)

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その他、お問い合わせは以下のアドレスまで
ご連絡ください。

<お問い合わせ>
「A COMMON BEAT」ミュージカルプロジェクト事務局
第24期東京プログラムチケット担当
ticket@commonbeat.org


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Shin
東京都東村山市出身。某通信企業に勤めながら、開発者のチームを抱えアプリやWEBメディア制作を行う。イベントアーカイブ公式アプリも作成中。日本文化を盛り上げる活動やイベント事業を行い、イベンターとしての一面も持つ。イベントアーカイブでは主に音楽・ファッションイベントや、IT系イベントを担当。